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真実よりも曖昧さが大切―何が本当かどうしたらわかるのか?(TED)

討論

ライフハックとしてではなく、英語学習にも極めて有用なのが、著名人が10分程度のプレゼンを行うTEDです。

TED Talksとは、あらゆる分野のエキスパートたちによるプレゼンテーションを無料で視聴できる動画配信サービスのことです。10年ほど前にサービスが開始されてから、政治、心理学、経済、日常生活などの幅広いコンテンツが視聴できることから人気を集めています。

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TEDは4000を超える膨大な数の動画があります。しかし慣れないうちは、動画の探し方や視聴のコツが分かりませんよね。この記事では、数多くのTEDを見てきた管理人(塩@saltandshio)が、心を揺さぶられたトークをあらすじと一緒にご紹介します。

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シーラ・マリー・オルファノ:何が本当かどうしたらわかるのか?

シーラ・マリー・オルファノ:何が本当かどうしたらわかるのか?

静かな竹藪で侍の死体が見つかります。事件に関わる者たちが順に見たことを語りますが、聞いていくと、それぞれの話はもっともらしくとも食い違っており、みんな自分が犯人だと言います。一体どうなっているのでしょう? 羅生門効果として知られる見方が対立する現象についてシーラ・マリー・オルファノが探ります(約4分半)。Sheila Marie Orfano / How do you know what’s true?

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芥川龍之介の藪の中と羅生門について

羅生門、蜘蛛の糸、鼻……など、国語の教科書で芥川龍之介の小説を読んだ人は多いでしょう。では、芥川龍之介とはいったいどんな人で、今回の題材となった藪の中と羅生門とはどんな話かご存知でしょうか。

簡単に説明すると、芥川龍之介は幼少期に両親の温かみを知らずに育ち、複雑な家庭の中で青春を過ごします。まわりからの愛情に乏しかったせいか反動でおおいに勉学に励み、大学時代は『羅生門』『鼻』などの名作を続々と生み出します。一気に名を挙げていった芥川龍之介ですが、晩年は女性問題や親族の自殺、生活苦などを抱え、35歳という若さで亡くなります。

藪の中は1922年、そして羅生門はそれより前の1915年に発表された芥川龍之介の文壇デビュー作です。それぞれのお話を簡単に紹介しましょう。藪の中は1人の侍の死をめぐって、捕らえられた強盗、死骸の発見者の木樵り、強盗を捕らえた放免の話が語られます。他にも侍の妻は清水寺で懺悔をし、侍の死霊は巫女の口を借りて当時の有様を語ります。しかしいずれも自分を中心に語り、話は核心部分で微妙に食い違っており真実は不明となっています。では一体犯人は何者なのか、すべては藪の中…というお話です。

羅生門は平安時代の平安京を南北に貫く朱雀大路の南端「羅生門」を舞台とした物語で、仕えていた主人から解雇された下人が、生活の糧がないので盗賊になろうかと悩むところから物語がはじまります。

荒廃した「羅生門」の2階に下人が上がったところ、老婆が若い女の遺体から髪の毛をむしり取っていました。怒りを覚えた下人は正義の気持ちで刀を抜きますが、老婆は「この死人達はそれぐらいのことをされてもいい人間たち。この女も生前に蛇の干物を魚の干物だと偽って売り歩いていた。抜いた髪でかつらを作って売ることは、自分が生きるために仕方がないことだ」と言い放ちます。老婆の話を聞いた下人は、自分も生きるために仕方がないと盗賊になる決心を決めます。そして、老婆の着物を剥ぎ取り去っていく…というのが羅生門の簡単なあらすじです。

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羅生門効果とは

「羅生門効果」という言葉は、各人が 同じ出来事について、もっともらしいながらも甚だ異なる説明をする状況を指し、証人の当てにならなさを指摘する時によく使われます。これは通常2つの条件の下で生じます。

The Rashomon effect describes a situation in which individuals give significantly different but equally conceivable accounts of the same event. Often used to highlight the unreliability of eyewitnesses, the Rashomon effect usually occurs under two specific conditions. 

羅生門効果のポイントになるのは、第1に本当に起きたことが明らかとなる証拠がないこと、第2に事実を解明しようとする当局者などによって、解決を求める圧力があることです。

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同じ出来事の異なる証言について

羅生門効果は、1つの客観的事実があるという考え方自体に疑問を呈します。芥川龍之介は 藪の中の作中で、各キャラクターごとに合わせて巧みに表現方法を変えて、各々の証言に言葉の重みを持たせています。そうすることによって登場人物たちを、信頼のできない語り手にしているのです。

誰の話が正しいのか示すものがないと、誰を信ずべきなのかわかりませんが、それぞれの証言は本当らしく聞こえるため、いったい誰が侍の命を奪ったのか、受け手は確信を持てずに取り残されます。

Without any hints on who’s sharing the most accurate account, the audience can’t tell which character to trust. Instead, each testimony takes on a truthful quality, and the audience is left doubting their convictions as they guess who ended the samurai’s life.

最近はドラマも小説も『わかりやすさ』に重点が置かれているため、藪の中を読んだ後はモヤモヤだけが残り苛立ちを感じる人がいるかもしれませんね。

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国や文化だけでなく人でも変わる事実

藪の中は私たちになにを伝えようとしているのでしょうか。神経科学によると、私たちは過去の経験や先入観によって、資格情報の解釈が異なることがわかっています。つまり、自分の行った行為に対して、無意識に自分の都合の良いように記憶を書き換えてしまうのです。

記憶したときは正確だったとしても、思い出す際に新たな情報と結びついて 記憶を変容させるため、後で出来事を思い出したときに呼び起こされるのは、元の経験そのものではなく潤色された記憶なのです。

Even if we were able to encode a memory accurately, recalling it incorporates new information that changes the memory. And when we later recall that event, we typically remember the embellished memory instead of the original experience.

これは個人だけに限った事ではありません。例えば、「各国首脳が一堂に会して会談が行われた」という世界的な出来事を取り扱ったニュースも、各メディアによって報道にばらつきがあるのは承知の通りです。利害関係によって円満に進んだと報道する国もいれば、全くの失敗だったと報道する国もあります。また、同じ国内でも結果に対して意見が割れるのは、各新聞や雑誌を見ればおわかりになるでしょう。

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まとめ:今こそ曖昧さを受け入れよう

わたしたちはいま、物事に対してすぐ白黒をつけようとします。しかし同じ出来事なのに、人によって異なる見解を持つことは既に紹介したとおりです。そのなかで羅生門効果が提起するより重要な問いは、事実とは何かということかもしれません。

みんなが異なる情報・背景・偏見を持つとき、集団での決定はいかに可能になるのか? 多くの疑問同様、これらの問いに決定的な答えというのはありませんが、芥川の物語の普遍的な重要性は曖昧さを受け入れることも大切だと示しているのかもしれません。

And how can we make group decisions if we’re all working with different information, backgrounds, and biases? Like most questions, these don’t have a definitive answer. But the enduring importance of Akutagawa’s story suggests there may be value in embracing the ambiguity.

物事に白黒をつけるのではなく、グレーゾーンを残すことによって考える余地が残ります。それは思いやりと受け取れることがあるし、割り切れない感情や情報を納得させるものになるかもしれません。ときに優柔不断と言われることもありますが、決着をつけることだけがすべてではないという考えは、現代を生きる私たちに今こそ求められているスキルかもしれません。

英語全文

A samurai is found dead in a quiet bamboo grove. One by one, the crime’s only known witnesses recount their version of the events that transpired. But as they each tell their tale, it becomes clear that every testimony is plausible, yet different. And each witness implicates themselves.

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This is the premise of “In a Grove,” a short story published in the early 1920s by Japanese author Ryūnosuke Akutagawa. Though many know this tale of warring perspectives by a different name: “Rashomon.” In 1950, Japanese filmmaker Akira Kurosawa adapted two of Akutagawa’s stories into one film. This movie introduced the world to an enduring cultural metaphor that has transformed our understanding of truth, justice and human memory.

The Rashomon effect describes a situation in which individuals give significantly different but equally conceivable accounts of the same event. Often used to highlight the unreliability of eyewitnesses, the Rashomon effect usually occurs under two specific conditions. The first: there’s no evidence to verify what really happened. And the second: there’s pressure to achieve closure, often provided by an authority figure trying to identify the definitive truth.

But the Rashomon effect undermines the very idea of a singular, objective truth. In the source material, Akutagawa and Kurosawa use the tools of their media to give each character’s testimony equal weight, transforming each witness into an unreliable narrator. Without any hints on who’s sharing the most accurate account, the audience can’t tell which character to trust. Instead, each testimony takes on a truthful quality, and the audience is left doubting their convictions as they guess who ended the samurai’s life.

Some might find this frustrating because the plot subverts expectations of how mysteries usually end. But by refusing to provide a clear answer, these two artists capture the messiness and complexity of truth and human memory.

Neuroscientists have found that when we form a memory, our interpretation of visual information is influenced by our previous experiences and internal biases. Some of these biases are unique to individuals, but others are more universal. For example, egocentric bias can influence people to subconsciously reshape their memories in ways that cast a positive light on their actions. Even if we were able to encode a memory accurately, recalling it incorporates new information that changes the memory. And when we later recall that event, we typically remember the embellished memory instead of the original experience.

These underlying psychological phenomena mean that the Rashomon effect can pop up anywhere. In biology, scientists starting from the same dataset and applying the same analytical methods, frequently publish different results. Anthropologists regularly grapple with the impact personal backgrounds can have on an expert’s perception. In one famous case, two anthropologists visited the Mexican village of Tepoztlan. The first researcher described life in the town as happy and contented, while the second recorded residents as paranoid and disgruntled.

Experts aside, the Rashomon effect can also impact the general public, particularly when it comes to the perception of complicated world events. For example, following a 2015 security summit between the United States and leaders from the Arab States, media reports about the summit varied enormously. Some stated that it had gone smoothly, while others called it a complete failure.

It’s tempting to fixate on why we have competing perceptions, but perhaps the more important question the Rashomon effect raises is, what is truth anyway? Are there situations when an “objective truth” doesn’t exist? What can different versions of the same event tell us about the time, place and people involved? And how can we make group decisions if we’re all working with different information, backgrounds, and biases? Like most questions, these don’t have a definitive answer. But the enduring importance of Akutagawa’s story suggests there may be value in embracing the ambiguity.

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