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巨人は肝っ玉が小さい?―アイルランド伝説『ジャイアンツ・コーズウェイ』(TED)

アイルランド

ライフハックとしてではなく、英語学習にも極めて有用なのが、著名人が10分程度のプレゼンを行うTEDです。

TED Talksとは、あらゆる分野のエキスパートたちによるプレゼンテーションを無料で視聴できる動画配信サービスのことです。10年ほど前にサービスが開始されてから、政治、心理学、経済、日常生活などの幅広いコンテンツが視聴できることから人気を集めています。

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TEDは4000を超える膨大な数の動画があります。しかし慣れないうちは、動画の探し方や視聴のコツが分かりませんよね。この記事では、数多くのTEDを見てきた管理人(塩@saltandshio)が、心を揺さぶられたトークをあらすじと一緒にご紹介します。

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イゾルト・ギレスピー:アイルランド伝説『ジャイアンツ・コーズウェイ』

イゾルト・ギレスピー:アイルランド伝説『ジャイアンツ・コーズウェイ』

北アイルランドの海岸には、「ジャイアンツ・コーズウェイ(巨人の石道)」と呼ばれる、玄武岩の平岩と石柱からなる広大な台地が、海に向かって伸びています。この成り立ちを科学的に説明すれば、火山の噴火後、溶岩が冷える際に収縮し、亀裂が入った結果ということになります。しかしながら、アイルランド神話は違った説明をします。イゾルト・ギレスピーが、『ジャイアンツ・コーズウェイ』の伝説を語ります(約3分)。Iseult Gillespie / The Irish myth of the Giant’s Causeway.

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アイルランド神話とは

アイルランド神話とは、Wikipediaによればキリスト教伝来以前のアイルランドで信仰されていた神々に関する伝承のことをさします。残念ながらアイルランド神話はキリスト教への改宗が進む中で宗教的な意義は奪われてしまいましたが、完全な形ではありませんが中世のアイルランド文学にその多くの逸話が保存されています。

中世アイランド文学は、さまざまに枝分かれして語られたケルト神話の最も浩瀚かつ最良の資料であるといわれており、残念ながら写本の多くは現存していません。あえて書き残されていなかった題材もありますが、固有のサイクル(物語群)としては分類することが可能な量の文献は残されています。これが、神話物語群、アルスター物語群、フィン物語群、歴史物語群と呼ばれるものです。そして、このサイクルにはあてはまらない神話的テクストも多く残されているのも特徴です。

ちなみにケルト神話とは、これまたWikipediaによれば、ケルトの神々に関する神話であり、実質的に鉄器時代のケルト民族の宗教・伝承体系を指します。他の鉄器時代のヨーロッパの民族と同じく、初期のケルト人は多神教の神話・宗教構造を持っていました。ただ、ケルト神話は、アイルランド神話と同様にローマ帝国による征服とキリスト教への改宗のため生き残ることができず、その神話のほとんどはローマやキリスト教側の同時代史料を通じてのみ今に伝えられているのが特徴です。

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北アイルランドの海岸にある巨人の石道

今回の物語の舞台は、北アイルランドの海岸にある「巨人の石道」です。大西洋に面したこの海岸は、柱状節理と呼ばれる岩の柱が並ぶ海岸。そしてまたその柱の上を歩くこともできる珍しい地形から、1986年に世界自然遺産として登録されました。

この成因を科学的に説明するなら、火山が噴火した後、溶岩が冷える際に収縮し亀裂が入った結果です。

The scientific explanation for this is that it’s the result of molten lava contracting and fracturing as it cooled in the wake of a volcanic eruption.

しかし アイルランド神話での原因の説明は、これとは異なっています。伝説によれば、二人の巨人がケンカをした果てに出来上がった道とされています。それが、『ジャイアンツ・コーズウェイ』です。

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ケンカの発端は対岸に住む男の罵声

そもそも、なぜ二人の巨人はケンカすることになったのでしょうか。伝説によれば、巨人フィン・マックールは妻のウーナーと共にアントリム海岸の北部で幸せに暮らしていました。

2人の幸せを乱すものは唯一、巨人ベナンドナーの罵声と脅し — その赤鬼は、海を隔てたスコットランドに住んでいました。

Their only disturbance came from the taunts and threats of the giant Benandonner, or the red man, who lived across the sea in Scotland.

腹を立てたフィンは、対岸からベナンドナーに応戦します。2人の大男は 互いに相手を罵り岩を投げては、力を誇示し合っていました。

塩(運営者)

この時点で、二人の小物感がうかがえますが、それは言わないお約束です

ちなみに、このケンカの最中に互いに投げ合っていた岩が原因で出来たのが、マン島とネイ湖といわれています。

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巨人二人の直接対決

大男たちの 罵り合いは止むことなく、ついにベナンドナーはフィンに直接対決を挑みます。これに応じたフィンは海に大量の巨石を投げ入れて、スコットランドに渡るべく飛び石の橋を作ると猛然とベナンドナーのもとへ走って行きます。しかし、対岸から怒髪天を衝く勢いで駆け寄って来るベナンドナーを見るやいなや、急に怖気づいて家に飛んで帰ってしまいました。

帰宅したフィンは、身震いしながら妻のウーナーに「あんな男と戦ったら、ひとたまりもない」と口にしたところ、話を聞いた妻のウーナーは「それなら」と夫を大きな揺りかごに詰め込みます。

塩(運営者)

大男が入るような揺りかごを、ふだんから家に常備しているの?と思っても、それも言わないお約束です

巨大な赤子に身を扮したフィンが静かに寝ていると、ベナンドナーが戸口をドンドンを叩いて家を揺らしながら入ってきました。

ウーナーは 猛り狂う訪問者に、夫は留守だが座って食事をしながら帰りまでお待ちくださいと告げます。

Oonagh told the enraged visitor that her husband wasn’t home, but welcomed him to sit and eat while he waited.

そして、「これが夫の大好物なんです」と鋼が入ったケーキを出して、なにも知らずに食べたベナントナーの歯を粉々にします。こんなものを毎日食べているフィンは、じつは恐ろしい男なのでは?とベナンドナーが疑心暗鬼になったところで、すかさずフィンがオギャーと泣き声をあげました。

傍らにいた巨大な赤子(フィン)を見たベナンドナーは、父親であるフィンの姿を思い浮かべて震えあがり、フィンと顔を合わせる前に逃げようと急いでフィンの家を飛び出します。さらにベナンドナーは、フィンが追いかけて来れないように、両岸を橋渡していた岩を破壊して家路を急いだのでした。これが、「ジャイアンツ・コーズウェイ」となりました。

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まとめ:一番強かったのはフィンの妻ウーナー

巨体を持った男たちは、怒鳴り合い、岩を投げ合うことで互いの力比べをして、最終的には直接対決するまでヒートアップしていました。しかし、そんな男たちの(しょうもない)ケンカに終止符を打ったのは、妻ウーナーの機転でした。

夫のフィンを揺りかごに寝かせたところからして、彼女にとって巨人二人のケンカは子供の戯れとしか思っていなかったのかもしれません。しかし、そうはいってもベナンドナーは太い首と破壊力のある拳を持つ、見た目からして怖い大男でした。

そんなベナンドナーを見ても動じることなく、鋼入りのケーキを出してシレッと嘘を貫き通せるウーナーこそ、「一番強い人」だったのかもしれません。

英語全文

On the coast of Northern Ireland, a vast plateau of basalt slabs and columns called the Giant’s Causeway stretches into the ocean. The scientific explanation for this is that it’s the result of molten lava contracting and fracturing as it cooled in the wake of a volcanic eruption. But an ancient Irish myth has a different accounting.

<全文を読む>▼クリック▼

According to legend, the giant Finn MacCool lived happily on the North Antrim coast with his wife Oonagh. Their only disturbance came from the taunts and threats of the giant Benandonner, or the red man, who lived across the sea in Scotland. The two roared insults and hurled rocks at each other in dramatic shows of strength.

Once, Finn tore up a great clump of land and heaved it at his rival, but it fell short of reaching land. Instead, the clump became the Isle of Man, and the crater left from the disturbed earth filled with water to become Lough Neagh. The giants’ tough talk continued, until one day Benandonner challenged Finn to a fight, face to face. And so the Irish giant tossed enough boulders into the sea to create a bridge of stepping stones to the Scottish coast.

Finn marched across in a fit of rage. When Scotland loomed before him, he made out the figure of Benandonner from afar. Finn was a substantial size, but at the sight of his colossal enemy thundering towards him, his courage faltered. With one look at Benandonner’s thick neck and crushing fists, Finn turned and ran.

Back home, with Benandonner fast approaching, Finn trembled as he described his enemy’s bulk to Oonagh. They knew that if he faced Benandonner head on, he’d be crushed. And so Oonagh hatched a cunning plan – they needed to create an illusion of size, to suggest Finn was a mountain of a man whilst keeping him out of sight.

As Benandonner neared the end of the bridge, Oonagh stuffed her husband in a huge cradle. Disguised as an enormous baby, Finn lay quiet as Benandonnner pounded on the door. The house shook as he stepped inside.

Oonagh told the enraged visitor that her husband wasn’t home, but welcomed him to sit and eat while he waited. When Benandonner tore into the cakes placed before him, he cried out in pain for he’d shattered his teeth on the metal Oonagh had concealed inside. She told him that this was Finn’s favorite bread, sowing a seed of doubt in Benandonner’s mind that he was any match for his rival.

When Finn let out a squawk, Benandonner’s attention was drawn to the gigantic baby in the corner. So hefty was the infant swaddled under piles of blankets, Benandonner shuddered at the thought of what the father would look like. He decided he’d rather not find out.

As he fled, Benandonner tore up the rocks connecting the shores, breaking up the causeway. What remains are two identical rock formations: one on the North Antrim coast of Ireland and one at Fingal’s Cave in Scotland, right across the sea.

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