鎧伝サムライトルーパーとは
『鎧伝サムライトルーパー』は、1988年4月30日から1989年3月4日まで、名古屋テレビを制作局としてテレビ朝日系列で毎週土曜に全39話が放送された、サンライズ制作のテレビアニメ。
キャッチコピーは「俺の心に鎧が走る！」。
1990年代はじめには一大ムーブメントを起こし、現在の声優ブームの先駆けにもなりました。今なお根強い人気があり、2022年には森口博子＆草尾毅が歌う『サムライハート ～2022～』が全世界配信。
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ここでは、『鎧伝サムライトルーパー』の感想と見どころ、そして各資料を踏まえての考察をご紹介いたします。
第13話 ヨロイギアの正体 あらすじ
時間を追うごとに強くなっていく遼達を見て、阿羅醐は危機感を感じます。五人を葬るには五人の力を逆手に取ろうと、阿羅醐は螺呪羅を差し向けます。その頃、地下鉄で秀は当麻と再会していました。
ようやく再開したのもつかの間、二人を妖邪を乗せた電車が襲い掛かります。直撃を避けようとして電車に飛び乗った際に、秀と当麻はバラバラになってしまいます。
＜続きを読む（※ネタバレを含みます）＞
「お前たちのその鎧は、殺戮、怨念の鎧。いずれ人間界に反旗を翻し、我が妖邪界に戻ってくるのだ……」
激しく否定する秀のもとに遼達が現れます。突然攻撃をしかけてきた遼達に対して、秀は心ならずもそれを撃退してしまいます。動揺している秀のもとに今度は螺呪羅が現れ、先程阿羅醐が言った言葉を繰り返します。秀達の鎧の力が増しているのは、鎧の本能が覚醒しつつあるからだと。その中で最も残忍だった鎧こそ金剛の鎧であると。
「俺の鎧が悪か正義か、その目でしかと確かめろ！」
螺呪羅の挑発に、秀は武装して応戦します。そんな秀に、螺呪羅は再び遼達の姿で幻惑して心を逆撫でします。
「俺の鎧が悪の化身だと？そんなわけがあるはずがない！」
秀は怒りの岩鉄砕を放ちますが、技を放った瞬間にその口元には微笑みが浮かんでいました。現実世界に戻ってきた秀は、自分が破壊したビルを見て呆然とします。鎧の力で壊したビルを見つめるその心には、次第に鎧に対する疑念がわき始めていたのでした。
＜閉じる＞
（第14話につづく）
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見どころ
第13話は阿羅醐のぼやきが満載です。
- 「貴様らの力が至らぬということじゃ、愚か者！」
- 「貴様らが吹き飛ぶ姿を見るのは、もう飽きたわ！」
- （「その策は？」とたずねる螺呪羅に）「行けばわかる！（怒）」
妖邪界でならず者を束ねる苦労人、阿羅醐。御館様として部下に手を焼いている様子がわかります。ほかにもツッコミどころの多い話でした。
- 前回の話と同様に、都市機能が麻痺しているのに地下鉄構内が明るい。
- 「地下鉄が動いているだと?!」（音で気が付かなかったのか……）
- とても丁寧に心理戦が描かれている。
- どんどん口車に乗せられ、軸がぶれていく秀の心の変化の見せ方が見事。
- 番組後半はまるで禅問答。
ここに注目！
13話で、番組の視聴者ターゲットを小学生男子から10代、20代の女性へとがらりとシフトチェンジしたのを強く感じました。
特に、番組後半の阿羅醐と螺呪羅の秀に対する言葉の揺さぶりは、小学生にはいささか難解です。それでも、わかりやすい言葉のロジック（議論の筋道）によって秀の心を揺さぶる様は見事でした。一本木で素直な心の持ち主である秀だからこそ、ここまで心が揺さぶられたに違いありません。
人の心が容易く揺れ動くさまは、私達の実生活でもあり得るもの。言葉の力によって信念さえも覆してしまう怖さを語るには、阿羅醐と螺呪羅の言動は十分な説得力がありました。
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（第14話につづく）
