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想像力は常識を揺らして養おう―揺すぶって変えるストーリー(TED)

絵本

ライフハックとしてではなく、英語学習にも極めて有用なのが、著名人が10分程度のプレゼンを行うTEDです。

TED Talksとは、あらゆる分野のエキスパートたちによるプレゼンテーションを無料で視聴できる動画配信サービスのことです。10年ほど前にサービスが開始されてから、政治、心理学、経済、日常生活などの幅広いコンテンツが視聴できることから人気を集めています。

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TEDは4000を超える膨大な数の動画があります。しかし慣れないうちは、動画の探し方や視聴のコツが分かりませんよね。この記事では、数多くのTEDを見てきた管理人(塩@saltandshio)が、心を揺さぶられたトークをあらすじと一緒にご紹介します。

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ラガヴァKK: 揺すぶって変えるストーリー

ラガヴァKK: 揺すぶって変えるストーリー

画家であるラガヴァKKが、子ども向けの楽しい機能が詰まった新しいiPadの本を紹介します。揺すぶるとストーリーが変わり、観点が変わります。この講演でラガヴァKKは、自分の観点を少しばかり揺すぶってやることをみんなに勧めています(約4分半)。

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子供向けの本には問題がある

ラガヴァKKは、アメリカで売られている絵本に異議を申し立てます。なぜなら、本屋で売られている絵本の世界観は、彼が育った国とはあまりに文化が違うからです。

そんな異文化の絵本に対抗するため、ラガヴァKKは自分の価値観を込めたiPad用の絵本を作ります。その絵本は、画面に触るとお風呂のマットが取れたり、赤ちゃんがウンチをしたり、さまざまな仕掛けが施されている楽しい絵本です。

しかし、この絵本はよく見ると両親はゲイのカップルです。そしてiPadを振ると、今度は両親がレズビアンのカップルになります。さらにもう一度振ると、今度は男女のカップルになります。

私は理想の家族像なんて信じていないのです。

You know, I don’t even believe in the concept of an ideal family.

カップルの形がiPadを振るたびに変わる絵本を見た子供は、きっと驚いて「なぜ?」と考えるようになるでしょう。これは、非常に興味深い試みですね。

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きっかけはある歴史事件

ラガヴァKKが、揺さぶることで変わる絵本を作るようになったのは、彼が13歳の時に体験したある出来事がきっかけでした。

ラガヴァKKの家は、伝統的なヒンドゥー教徒でした。彼はきっちりとしたキリスト教の学校に通い、よきサマリア人になるように育てられました。しかし周りの家庭はイスラム教徒ばかりで、ヒンドゥー教徒はラガヴァKKの家だけでした。平和に暮らしていたラガヴァKKでしたが、13歳のときに近所で事件が起きます。

16世紀に建てられたモスクが、ヒンドゥー過激派によって破壊されたのです。近所の子供が慌ててラガヴァKKの家に来て、「ヒンドゥー教徒がイスラム教徒を殺しているから気を付けて!」と言いに来ます。しかし、ラガヴァKKはその子に申し訳なさそうに、「あの、俺もヒンドゥーなんだよね……」と伝えます。伝えに来た子供はとても驚き、目を丸くしたままラガヴァKKを唖然と見つめました。

この出来事はラガヴァKKの価値観を大きく揺るがしました。

成長してアーティストになったラガヴァKKは、自身の個展でこの歴史的事件を扱いながら、やがて様々な視点で見せて世界のあらゆる面を考えさせるような作品を作るようになります。

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揺さぶると価値観が変わる絵本

揺さぶるとカップルの性別が変わる絵本ですが、ほかにもいくつかの仕掛けがあります。iPadを振るとインドの観点になったり、パキスタンの観点になったり、はたまたイギリスの観点になります。ラガヴァKKが作った絵本は、ひとつの物語を様々な国の目線から見れるように作られているのです。

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偏見から事実を切り離そう

ほかにも、絵本にはさまざまな動物が出てきます。しかし、それはただ単に動物を描いているのではありません。動物はイスラエルとパレスチナ、はたまたインドとパキスタンを表すように表現されており、それぞれが自分にとって大事な主張をしているのです。しかし、どちらが善か悪かというわけではありません。どちらにとっても正義なのです。

私の主張は、出来るだけ早い時期から子どもに異なる観点を教えるのが、創造性を育てる唯一の方法だということです

And my argument [ is ] that the only way for us to teach creativity is by teaching children perspectives at the earliest stage.

子供の本は子育てのマニュアルです。それなら、子供に観点を教える本を与えましょうとラガヴァKKは言います。それは、様々な観点を与えることによって、子供は自分の頭で考えられるようになり、自分と違った人の立場を考えられるようになるからです。

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まとめ:絵本は子供に多くの着眼点を与えることが出来る

トークの最後にラガヴァKKは、人と人を繋ぐアートの可能性について触れます。

アートと創造性は、共感のためのとても大切な道具だと言いたいです。

I’m making an argument that art and creativity are very essential tools in empathy.

子供に偏見のない人生を約束することはできません。それは、親自身にも色眼鏡がかけられているからです。

しかし、私たちが偏見を持っていても、子供たちに複数の視点を持たせてあげることは出来ます。一つの価値観に縛られることなく、子供たちに広い視野を持たせてあげることは、きっとこれからを生きる彼らに大きな力になることでしょう。

英語全文

Hi everyone. I’m an artist and a dad — second time around. Thank you. And I want to share with you my latest art project. It’s a children’s book for the iPad. It’s a little quirky and silly. It’s called “Pop-It,” And it’s about the things little kids do with their parents.

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So this is about potty training — as most of you, I hope, know. You can tickle the rug. You can make the baby poop. You can do all those fun things. You can burst bubbles. You can draw, as everyone should.

But you know, I have a problem with children’s books: I think they’re full of propaganda. At least an Indian trying to get one of these American books in Park Slope, forget it. It’s not the way I was brought up. So I said, “I’m going to counter this with my own propaganda.” If you notice carefully, it’s a homosexual couple bringing up a child. You don’t like it? Shake it, and you have a lesbian couple. Shake it, and you have a heterosexual couple. You know, I don’t even believe in the concept of an ideal family.

I have to tell you about my childhood. I went to this very proper Christian school taught by nuns, fathers, brothers, sisters. Basically, I was brought up to be a good Samaritan, and I am. And I’d go at the end of the day to a traditional Hindu house, which was probably the only Hindu house in a predominantly Islamic neighborhood. Basically, I celebrated every religious function. In fact, when there was a wedding in our neighborhood, all of us would paint our houses for the wedding. I remember we cried profusely when the little goats we played with in the summer became biriani. We all had to fast during Ramadan. It was a very beautiful time.

But I must say, I’ll never forget, when I was 13 years old, this happened. Babri Masjid — one of the most beautiful mosques in India, built by King Babur, I think, in the 16th century — was demolished by Hindu activists. This caused major riots in my city. And for the first time, I was affected by this communal unrest. My little five-year-old kid neighbor comes running in, and he says, “Rags, Rags. You know the Hindus are killing us Muslims. Be careful.” I’m like, “Dude, I’m Hindu.” He’s like, “Huh!”

You know, my work is inspired by events such as this. Even in my gallery shows, I try and revisit historic events like Babri Masjid, distill only its emotional residue and image my own life. Imagine history being taught differently.

Remember that children’s book where you shake and the sexuality of the parents change? I have another idea. It’s a children’s book about Indian independence — very patriotic. But when you shake it, you get Pakistan’s perspective. Shake it again, and you get the British perspective.

You have to separate fact from bias, right. Even my books on children have cute, fuzzy animals. But they’re playing geopolitics. They’re playing out Israel-Palestine, India-Pakistan. You know, I’m making a very important argument. And my argument [ is ] that the only way for us to teach creativity is by teaching children perspectives at the earliest stage. After all, children’s books are manuals on parenting, so you better give them children’s books that teach them perspectives. And conversely, only when you teach perspectives will a child be able to imagine and put themselves in the shoes of someone who is different from them.

I’m making an argument that art and creativity are very essential tools in empathy. You know, I can’t promise my child a life without bias — we’re all biased — but I promise to bias my child with multiple perspectives.

Thank you very much.

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