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閃きは音速を超えるか―思考の速さはどれくらい?(TED)

ひらめき

ライフハックとしてではなく、英語学習にも極めて有用なのが、著名人が10分程度のプレゼンを行うTEDです。

TED Talksとは、あらゆる分野のエキスパートたちによるプレゼンテーションを無料で視聴できる動画配信サービスのことです。10年ほど前にサービスが開始されてから、政治、心理学、経済、日常生活などの幅広いコンテンツが視聴できることから人気を集めています。

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TEDは4000を超える膨大な数の動画があります。しかし慣れないうちは、動画の探し方や視聴のコツが分かりませんよね。この記事では、数多くのTEDを見てきた管理人(塩@saltandshio)が、心を揺さぶられたトークをあらすじと一緒にご紹介します。

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シーナ・マシュー:思考の速さはどれくらい?

シーナ・マシュー:思考の速さはどれくらい?

恐ろしき敵があなたを捕らえ奇妙な実験をもくろんでいます。彼はあなたの神経系を引き伸ばし1本の非常に長い神経細胞にして、約70メートル先の的に繋げました。そのうちに 的に矢を放ちます。矢が的に当たる前に的について思考が及んだならあなたは解放されます。この競争に勝つのはどちらでしょうか?シーナ・マシューが思考の速さを検証します。(約5分)。Seena Mathew / How fast is the speed of thought?

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矢があたるのが先か、逃げる手段を思いつくのが先か

あなたは矢を避けることが出来ますか?

あなたは恐ろしい敵に捕まってしまい、奇妙な実験の実験台にさせられてしまいました。敵は、あなたの神経系を引き伸ばして1本の非常に長い神経細胞にしたあと、約70メートル先の的に繋げました。敵はそのうち的に向かって矢を放つ予定です。しかし、いつ矢を放つかはわかりません。

もし矢が放たれたあとに、あなたが矢が的に当たる前に助かる方法を思いついたら、この実験から逃げ出すことが出来ます。さて問題です。あなたはこの実験から逃れることは出来るでしょうか。

この実験を検証するためには、まず思考のハードウェアである神経細胞を調べる必要があります。ちなみに人間の脳には約860億個の神経細胞があります。神経細胞は、刺激を受けた場所(活動電位)を通して各部署へと信号が送られていきます。神経細胞から神経伝達物質を受けたあと、シナプスを介して信号を次の細胞に伝達します。そして次の神経細胞が信号を受け取り、この神経細胞に伝達された後でさらに先へと伝達されていきます。

つまり思考の速さを決める主な要因は、活動電位の最初の発生までにかかる時間と、活動電位が軸索を伝わる時間と、シナプスを介した伝搬に要する時間です。また、関与する神経細胞の数と信号の伝搬距離も考慮しなければなりません!

So, the key factors that determine how quickly you think include how long it takes to generate an initial action potential; propagate it down the length of the axon; and transport it through the synapse.

つまり痛みや衝撃など、なんらかの情報を受けた体が反応を示すためには、体にあるさまざまなネットワークを介さなければいけないということです。

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足を叩いて痛みを感じるまでは0.015秒

そのまえに単純な実験をしてみましょう。膝を金づちで軽く叩いたとして、痛みを感じるまでに身長約165センチの人で0.015秒かかります。この反応を示すために必要な神経細胞の長さは約1メートルで、この信号は時速120~240キロほどで移動すると考えられています。

叩かれた衝撃を知覚するのに0.001秒、シナプス伝達には0.0001~0.0005秒しかかからないため、ほとんどの時間は神経細胞への伝達時間で費やされています。さまざまな研究によって、平均的な神経細胞それぞれが時速約180キロで伝達することがわかっているため、この反応は一般的な時間と考えられます。これは、頭で考えた反応ではなく、反射反応と考えるとわかりやすいでしょう。

みなさんはヤカンなど熱いものに手を触れるとパッと手をひっこめますね。これは、脳の命令で行う動作ではないのです。皮膚が受けた強い刺激は情報として感覚神経を通って脊髄に入りますが、ここから脳に情報を伝える過程を省略し、直接、運動神経に命令を伝えるため瞬時に手がひっこむのです。

このように、脊髄で情報が折り返されることを反射と言います。

反射に要する時間は0.1秒以下と言われています。(手をひっこめた後、熱いとか痛いとか感じるのは、情報を神経に送った後、脳にも送られるからです。)

反射って何? / 札幌青少年科学館より

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最速は時速432キロ

ちなみに、神経の伝達速度は訓練によってスピードを増すことが出来ます。オリンピック選手だけでなくスポーツをしている人が、「考えるより先に体が動いた」という言葉を聞いたことはありませんか?

スポーツだけではありません。ピアノなどの楽器奏者や、さまざまなジャンルの学者、画家、さらには試験勉強をしている人に至るまで、何度も練習を重ねることによって情報伝達の回路が太くなり、神経内部の抵抗も減っていきます。その結果、頭からの指令が体に早く届くようになるのです。

これらの複合的な要因により活動電位の伝搬速度が速くなり、時速432キロにもなります!

These compounded factors can raise the speed of an action potential as high as 432 kilometers per hour.

ちなみに、鍛えたからといっても、伝達速度は一生の間で変化します。とくに高齢者は反応速度が鈍くなります。これは、老化によって神経細胞だけでなく、ほかの細胞や構造が劣化するためです。

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目は0.013秒で情報を処理する

さて、最初の問題に戻りましょう。あなたは敵が放つ矢から逃げることが出来るのでしょうか。

リカーブボウ(弓)から放たれた矢は、平均時速約240キロで飛びます。つまり十分に長く、ミエリン(効率)化された大口径のニューロン(神経細胞)があれば、あなたの思考は実際にレースに勝てるかもしれません。

Arrows shot from recurve bows fly, on average, around 240 kilometers per hour. Which means that given a sufficiently long, myelinated or large-diameter neuron, your thoughts actually could win the race.

ただ、勝てるといっても問題があります。まず、放たれた矢と一緒に思考も動かなければいけません。そして、矢と思考は同時にスタートを切るわけではありません。矢が発射されて、あなたの脳が矢が放たれたと認識したところで、思考は情報処理をスタートさせるため、いくらかタイムラグが発生してしまうのです。

しかし、ここで起死回生の方法があります。それが恐怖の驚愕反応です。恐怖の驚愕反応が起こると、かなりの速さで信号が伝達されます。私たちの目は0.013秒で画像を処理することができますが、見ているものを計算してそれがもたらす危険性を判断するには、さらに0.18秒~0.2秒もかかることがありますが、それらのスピードが恐怖の驚愕反応によってかなり増すのです。

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結論:矢から逃げられる可能性は0ではない

恐怖の驚愕反応は脊髄反射と同じものと考えられます。

目の前にボールが飛んできた時に無意識に目をつぶったり、熱い鍋に触った時に思わず手を引っ込めたりする反応を、脊髄反射といいます

もし、鍋がそれほど熱くなかったら、ちょっと熱いという感覚と、手を引っ込めようという行動の間には、皮膚で触れた感覚→感覚神経→中枢神経→大脳皮質→中枢神経→運動神経→骨格筋というプロセスがあります。つまり、脳がちょっと熱いから、手を引っ込めようと判断して行われた行動ということになります。これを器官でたどると、皮膚→脊髄→脳→脊髄→筋という流れです。

しかし、鍋があまりにも熱い時には、このような経路で情報や命令が伝達されていては大やけどをしてしまいます。そのため、脊髄が脳の代役を務める脊髄反射が起こります。つまり、脳にまで情報を送らず、脊髄が手を引っ込めろ!と指令を出すのです。この指令は脳を経由していないので、無意識に行動されます。脊髄反射は、生体の安全を守るために備わっている緊急避難的な運動なのです。 

熱いものに触れると思わず手を引っ込めるのはなぜ?|脊髄反射 / 看護roo!より

あなたが恐怖を感じて、文字通り逃げる方法を「考える」ことが出来れば、矢に追いつくチャンスは十分にあると考えられます。70M先から矢を放たれても、絶対に逃げられないわけでは無いのです。

いつでもどこでも恐怖の驚愕反応は起きるわけではありません。しかし、どんなに追い詰められても起死回生の一手があると思えば、大きな困難がやってきてもきっと乗り切ることができるでしょう。

ちなみに、佐藤健さんが主演して話題になった少年ジャンプの名作『るろうに剣心』では、作品の主人公である緋村剣心が放つ必殺技「九頭龍閃」は、0.01秒という驚異のスピードで敵の体を9箇所を攻撃します。さらに、最強の必殺技である「天翔龍閃」に至っては、その速度を上回る0.0002秒で攻撃されるといわれています。

天翔龍閃は抜刀術なので、刀をさやに収めた状態から始まる。これで前方の相手を斬るには、逆刃刀を180度動かす必要があるだろう。その間にマッハ92.6に達するとしたら、止まった状態でも2857万G(自由落下の2857万倍)の加速が必要。

その1振りはわずか0.0002秒で完了する。

剣心が左足を1m踏み出すと、体幹はその半分の50cmだけ前に出るが、0.0002秒でその動作を完了するには、0.0001秒でマッハ14.7に加速して、残り0.0001秒でスピードをゼロにしなければならず、これには512万Gの加速&減速が必要だ。

『るろうに剣心』で描かれたエネルギーについて考えてみた / EMIRA

矢が放たれた場合はひょっとしたら助かるかもしれません。しかし、天翔龍閃を打たれては誰も太刀打ちできないことでしょう。そのときは開き直りという技が日の目を見るかもしれません。

英語全文

Your mortal enemy has captured you and hooked you up to a bizarre experiment. He’s extended your nervous system with one very long neuron to a target about 70 meters away. At some point, he’s going to fire an arrow. If you can then think a thought to the target before the arrow hits it, he’ll let you go. So who wins that race?

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In order to answer, we have to examine the hardware of thought: neurons. The human brain has about 86 billion of these cells. They transmit signals down their axons by way of electrical impulses, or action potentials. One neuron can then pass that signal to the next at a synapse by way of chemical neurotransmitters. The signal is received by the next neuron’s dendrites, propagated down its axon, and passed further along.

So, the key factors that determine how quickly you think include how long it takes to generate an initial action potential; propagate it down the length of the axon; and transport it through the synapse. We must also factor in the number of neurons involved and the distance the signal has to travel.

Let’s see what this looks like in a simple pathway— your knee-jerk reflex. A strike to your patellar tendon triggers an electrical impulse that travels up a sensory neuron to your spine. There the signal branches, and for the sake of simplicity, we’ll consider the segment that jumps into a motor neuron to journey back down your leg. The total length of the neurons in that pathway is about 1 meter in someone who is 5 foot 5 inches, and on average it takes 15 to 30 milliseconds from strike to kick. Speed is distance divided by time, so this signal travels somewhere between 120 to 240 kilometers per hour. The initial action potential accounts for 1 to 5 milliseconds and synaptic transmissions only take .1 to .5 milliseconds, so the bulk of that time is spent within the axons.

This is consistent with research findings that the average individual neuron sends signals at around 180 kilometers per hour. But speeds can be boosted with myelination and increased axon diameter. Myelin is a fatty sheath that insulates an axon, preventing electrical currents from leaking out. Meanwhile, axons with larger diameters offer less internal resistance. These compounded factors can raise the speed of an action potential as high as 432 kilometers per hour. There’s plenty of variation: some people think faster than others, and your own speed of thought changes throughout your lifetime. In particular, as you reach old age, the myelin sheath covering your axons wears down, and other neuronal structures degrade.

Back to the dastardly experiment. Arrows shot from recurve bows fly, on average, around 240 kilometers per hour. Which means that given a sufficiently long, myelinated or large-diameter neuron, your thoughts actually could win the race. But… there’s a wrinkle. The arrow and thought don’t leave the gate at the same time; first the arrow fires, then once you perceive it, your signal can start down its path.

Processing images or music, participating in inner speech, and recalling memories all require complicated neural pathways that are nowhere close to the linearity of the knee-jerk reflex. The speed at which these thoughts occur is mostly consistent, with variations based on myelination and axon diameter. But the duration of a thought will vary significantly depending on its routes, pitstops, and destination.

In this case, when you perceive a threatening stimulus, you’ll invoke a fear startle response. Similar to the knee-jerk response, a startle can be involuntary and quite fast. If the string twangs loud enough, you might react in less than 65 milliseconds. More likely though, your startle reaction will be based on sight. Our eyes can process an image as quickly as 13 milliseconds, but computation of what you’re seeing and determining the danger it poses can take as long as 180 to 200 milliseconds. In that time the arrow will have gained a head start of about 13 meters. The target is far enough away that you’ve got just enough of a chance to catch up, if you can quickly, and quite literally, think your way out.

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